投資用の物件を高く売り抜けるために最適なタイミング

収益物件の売却

マンションやアパート経営は出口戦略、つまり物件を売却する際の戦略を立てることが最も重要な項目の一つであると言われています。
投資・収益物件を売却する時期として相応しいのは、どういったタイミングになるのでしょうか。
最大の売り時を逃さず、しっかりと資金を回収するための知識を、少しでも早いうちから付けておきましょう。

満室になっているタイミングが最も売りやすい

所有している部屋に居住者がいる場合、あるいは所有マンション・アパートの部屋が全て埋まり満室になっているタイミングが最高の売り時になることは間違いありません。
後を継いで購入する人物としても、収益を見込めると判断するからこそ購入を検討するわけですから、部屋が埋まっているという事実は強い説得力を伴います。
特にマンションやアパートを一棟まるごと売却するという場合には、満室の状態であれば周囲のライバル物件より割高な金額を提示しても売買が成立することがあります。

常に満室の状態が続いている人気物件の場合には、売却をせずにそのまま経営を続けていたほうが収益を上げられる可能性が高いことは確かです。
しかし「偶然満室になった」という場合や「珍しく部屋が埋まっている」という場合には、なるべく入居者が多いうちに売却を始めたほうが高値で売れやすくなります。

回収できる金額が投資額を上回ったとき

投資用物件の売却額として期待できる金額が、物件を購入した際の費用と家賃収入を含めた金額を上回ったタイミングも売り時と言えます。
投資物件の運営で赤字を生んでしまう方もおられますが、この状況にまでコントロールすることができれば、少なくとも黒字で不動産投資を手仕舞いにすることができます。
節税対策と同時に売却益を計上することは不動産投資におけるゴールの一つとも考えられますから、このタイミングでの売却はおすすめです。

ただし、売却益が発生する場合には譲渡所得税がかかり、譲渡益に対して多額の税金が請求されることは覚えておかなければなりません。
譲渡所得税の税率は物件を保有していた期間に応じて変化し、仮に購入後5年以内の物件を売却する場合には所得税30%に加えて住民税9%と合わせて39%の税金が譲渡益に対してかかります。
しかし購入から5年以上が経過している物件の場合には税率が所得税15%、住民税5%の合わせて20%にまで低下しますから、税金が事実上半減することになります。
購入から3~4年目の物件を売却することを検討しているという場合には、5年目以降になるまで待ってから売却することも戦略上有効と言えるでしょう。

減価償却が終了するよりも前に売却する

不動産経営を行う上でメリットとなるのが、所有している物件から発生する減価償却に伴う節税対策が可能になるという点です。
しかし減価償却は年々大きくなり、建物の耐用年数が限界に近付くほど価値を失い、やがて減価償却ができなくなってしまいます。
こうなってからでは投資家にとって不動産経営を行う旨味がなくなってしまうため、高値での売却が困難になります。

一例として木造住宅の耐用年数は22年、金属造の耐用年数は19~34年、鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年と定められています。
この耐用年数をオーバーしないタイミングで売却を済ませるということが、投資用マンションを高値で売り抜けるためのカギを握っていると言っても過言ではありません。

大規模修繕工事を行う前

建物のコンディションを維持するためには、10~15年程度に一度大規模修繕工事を行う必要があります。
大規模修繕では塗装を始め様々な工事を実施することになり、ここでかかる費用は数百万円~数千万円規模に上ることが普通です。
これらの金額は全てオーナーが負担することになりますから、大規模修繕工事を行うよりも前に売却を済ませることもポイントと言えます。

ただし、大規模修繕工事が必要になるギリギリのタイミングでは買い手を探しにくく、値下げ交渉を受けた場合に不利になることもあります。
修繕前に売るか、修繕後に売るかのどちらがお得かは物件によって異なりますから、不動産業者を交えてよく相談することがおすすめです。

想定していた収益を見込めない場合

不動産投資を行う前には、本当に収益を上げられるのか時間をかけて計算しますが、残念ながらそれでも失敗してしまうことはあります。
想定していた収益を見込むことができないばかりか、赤字経営というトンネルから脱出する目途が立たないというときには、そのまま経営を続けることは諦めて物件を売却し、新しい投資先を探しても良いでしょう。
不動産投資に限らず、全ての投資においてロスカットは特に重要であり、少しでも早く見切りをつけることが、最終的な利益発生の有無を決定付けることになります。

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