不動産を売却すると譲渡所得税が課税される
不動産を売却した場合に課税される税金の主なものは譲渡所得税です。
しかし、マイホームを売却した場合等一定の要件を満たす場合には、結構大きな金額の特別控除が利用できるため、不動産を売却しても譲渡所得税がかからないケースもかなりあります。
投資目的で不動産取引を行う人は別として、一般の方であれば、住宅を売却する際の税金のことはあまり心配する必要はないでしょう。
目次
不動産を売却する場合に課税される税金について
中古住宅などの不動産を売却した場合に課税される税金の代表的なものは譲渡所得税です。
譲渡所得税とは資産の譲渡により獲得した所得に対する税金のことですが、土地や建物などの不動産も当然に課税対象の資産に含まれます。
土地や建物を売却した場合に一定金額以上の所得が発生した場合には、譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税以外で、不動産を売却した場合に課税される税金として考えられるのは登記に係る登録免許税です。
売却した不動産の登記名義は売主から買主に直しますが、その際に、原則として、売却した不動産価格に1,000分の20を乗じたて計算される登録免許税が課税されます。
この登録免許税は法律上は売主(登記義務者)と買主(登記権利者)の双方が負担することになっていますので、本来であれば売主にも納税額の一部について支払義務があります。
しかし、現在の取引慣行では売却した不動産の登記名義を直す際に必要となる登録免許税は、買主が負担することになっています。
実際に不動産を売却された方がこの登録免許税を支払わなければならないということは、ほとんどないでしょう。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の課税額を計算する際には、まず、土地や建物を売却して得た収入金額(売上代金)を確定します。
次に、 取得費用と譲渡費用を計算します。
取得費用とは、売却した土地や建物の購入代金(建物を新築した場合には建築費)、不動産会社に支払った購入手数料、設備費や改良費などのことです。
売却した不動産に費やした上記のような費用がある場合には、それらを集計して合計した金額が取得費用になります。
具体的に言うと、譲渡費用には以下のようなものが該当します。
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るために、借家人に家屋を明け渡してもらう際の立退料
(4)土地を売りために土地上の建物を取り壊した場合の取り壊し費用
(5)すでに売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
売却した不動産に費やした上記のような費用があれば、それらを集計した合計金額が譲渡費用になります。
最後に利用できる特別控除額があるかどうかを調べて、もし利用できる特別控除があればその金額を確認します。
譲渡所得税の特別控除は多数ありますが、中古住宅を売却する際に一番かかわってくるものは、マイホームを譲渡した場合の特別控除です。
これは、以下の要件を満たした場合に譲渡所得に対して3,000万円の特別控除を認めるというものです。
(2)マイホームに住まなくなったから3年目の12月31日までに売ること
(3)売る相手が、親子、夫婦、生計を同じくしている親族でないこと
(4)所得税の住宅ローン控除を受けていないこと
(5)マイホームを売った年の前年、前々年にマイホーム譲渡の3,000万円特例等を受け
ていないこと
以上が済んだら、以下の計算式に各種の金額を当てはめて計算すると、譲渡所得税の金額がでてきます。
課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
ここで、この取引にマイホームを譲渡した場合の特別控除が適用されるとします。すると、2,400万円は3,000万円の控除内に収まりますので、課税譲渡所得金額は0円となり、譲渡所得税は非課税となります。
譲渡所得税の支払方法や税率について
マイホーム以外の不動産を売却した方や、マイホームを売却した方でもそのマイホームが購入価格よりはるかに高い値段で売れた場合等には、譲渡所得税の納税義務が発生します。
譲渡所得の計算の結果、支払うべき譲渡所得税が発生していることが明らかになった場合、譲渡所得税の確定申告が必要になります。
譲渡所得税の確定申告は、原則として、譲渡があった年の翌年の2月16日から3月15日の申告期間に、住所地を管轄する税務署で行います。
不動産を売却したことによって発生した譲渡所得税は分離課税方式なので、事業所得などの他の所得とは分離して、原則として譲渡所得のみで確定申告を行います。
譲渡所得税の税率は、長期譲渡所得税が国税+地方税合わせて20%、短期譲渡所得税率が国税+地方税合わせて39%となっています。
長期譲渡とは、譲渡した不動産の保有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年を超える場合のことをいい、短期譲渡とは、譲渡した不動産の保有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年以下となる場合のことをいいます。