住宅(空き家)を相続した場合の相続税について

売却の税金

相続した住宅が空き家となるので住宅を売却したいとお考えの方もいらっしゃると思います。このページでは、そのような方に向けて、住宅を取得した際の相続税について解説します。

住宅(空き家)を相続した場合の相続税について解説

相続税の基礎控除額について


相続税には基礎控除額が設けられており、1回の相続で発生した遺産総額が基礎控除額以内であれば、相続税は課税されません。相続が発生した場合には、一番最初に遺産総額が基礎控除額以内であるかどうかを確認する必要があります。遺産総額が基礎控除内であれば、相続税の支払いはありませんし、相続税に関する手続きも不要です。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で計算します。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、配偶者と子供が2人の標準的な相続の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。この例では、相続人が残した遺産総額(墓石や仏壇など一定の非課税財産を除きます)の金額が4,800万円以下であれば、相続税は非課税となります。

この相続税の基礎控除額は平成27年1月1日を境に40%引き下げられましたが、基礎控除額引き下げ前では相続全体の4%程度が相続税の課税対象となっており、基礎控除額の引き上げ後はその数字は6%に上昇したと言われています。

基礎控除額の引き上げ後であっても、相続税の課税対象となる相続は6%で残りの94%は相続税の発生しない相続です。空き家を相続した場合でも、その空き家の評価額が非常に高くなる場合や、住宅以外の遺産総額が大きくなる場合を除けば、相続税の支払いが必要になるケースはそれほど多くはないでしょう。

住宅の相続税評価額について


相続税の課税対象となる遺産総額を計算する際に、相続した住宅の評価額は時価評価額ではなく相続税法で定められる評価方法を用いて算定された金額を用います。相続税法で定める住宅の評価額は固定資産税評価額に1.0を乗じた金額とされています。簡単に言うと、相続した住宅の固定資産評価額が、そのままその住宅の相続税評価額となります。

固定資産税評価額は、被相続人の住所地の市町村役場の窓口で交付を受けることができる固定資産評価証明書から確認することができます。相続人であれば、本人でなくてもこの固定資産評価証明書を取得することができます。

ちなみに、住宅の敷地となっている土地の方は、評価対象地が市街地にある場合には路線価に地積を乗じて計算した金額、市街地以外の場所にある場合には土地の固定資産評価額に国税庁が定める一定の倍率を乗じて計算した金額、をそれぞれ基準として定めた金額となります。

相続した土地の評価は住宅の評価とは異なり、非常に複雑ですので土地の金額が高額になりそうな場合には、税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう

相続税の計算方法について


相続の大部分は遺産総額が基礎控除内に収まるので、相続税の手続きは不要です。しかし、遺産総額が基礎控除額を超えてしまった場合には、相続税の手続きが必要になります。

相続税には、基礎控除の他にも、配偶者控除、障害者控除、未成年者控除などの各種控除が設けられていますので、これらの控除を利用した結果、相続税額が0円となる場合もあります。
しかし、基礎控除以外の控除を利用するためには、申告期限内に相続税の確定申告の手続きが必要で、この手続きをしないと後から相続税の支払いが命じられます。

さて、相続税の計算方法ですが、相続人が1人しかいない場合は非常に簡単です。その場合には、基礎控除額を超えた分がそのまま法定相続分に応ずる所得金額となりますから、それに対して下記の相続税率を乗じた金額が支払うべき相続税の税額になります。

法定相続分に対する取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
相続人が複数いる場合には、まず、総額を法定相続分で按分し、各相続人の遺産総額の法定相続分を計算します。次に、各相続人ごとに、遺産総額の法定相続分に上記の相続税率
を乗じて、各相続人の法定相続人分による相続税額を計算します。

そして、各相続分人の法定相続分による相続税額を合算して相続税の総額を計算します。相続税の総額の計算が終わったら、最後に、その相続税の総額を、各相続人の遺産総額に対するその相続人が実際に相続した財産の価額の割合で按分すると、各相続人が実際に納税する金額が計算されます。

相続税の各種控除制度について


相続税には各種控除が設けられていますので、利用できる控除があれば、取得した遺産の金額又は税額から一定金額を控除して相続税を節税することができます。

相続人が配偶者である場合には、配偶者の相続により取得した財産の価格が遺産総額の2分の1以下である場合には、配偶者に相続税は課税されません。また、遺産総額の2分の1を超えても、配偶者の取得した遺産の価額が1億6千万円以下であれば相続税は課税されません。この制度のことを相続税の配偶者控除と言います。
相続人が未成年者又は障害者である場合にも、一定額の控除を受けることが可能です。こちらは税額控除なので、要件を満たした場合には、最終的に計算された相続税の支払額から控除金額を差引くことができます。

未成年者控除の金額は以下のとおりです。
未成年者控除額=10万円×(20歳--その相続人の年齢)

障害者控除の金額は以下のとおりです。
障害者控除の金額=10万円×(85歳--その相続人の年齢)
特別障害者の金額=20万円×(85歳--その相続人の年齢)
※特別障害者とは、障害者のうち特別に重い障害を持つ者のことを言います。

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