知らないと損するマイホームを売却して赤字が出た場合の所得税の特例について
え?買った家に住んでいて中古で売れば損(買ったときより安く売却)ってあたりまえじゃない?と思いますよね。
でも、これは損となるのです。
マイホームやマンションなどの居住用財産を売却して損失を被った場合、一定の要件を満たしていれば、その損失分を譲渡があった年の事業所得や給与所得から控除して所得税を節約することができます。
この制度を「不動産を譲渡して損失が生じた場合の特例」と言いますが、これからマイホームを売ろうとする方にとって、こと特例のことを知っておくことは非常に重要ですので、以下で解説します。
目次
知らないと損するマイホームを売却して赤字が出た場合の所得税の特例について
不動産を譲渡して損失が生じた場合の特例とは
一般的には、土地や建物を譲渡して赤字となった場合には、その赤字分は他の不動産取引によって発生した譲渡所得から控除することができますが、給与所得や事業所得からは控除することができません。
しかし、以下の要件を満たした場合には、例外的に、不動産の譲渡によって発生した損失を給与所得や事業所得から控除できます。
- 平成16年1月1日から平成31年12月31日までの譲渡の年の1月1日現在で、土地建物の所有期間がいずれも5年を超えていること
- 譲渡契約をした日の前日において、譲渡資産等に係る住宅ローン等(契約における償還期間が10年以上の者に限る)の借入残高があること
- 譲渡損失が発生していること
- 譲渡資産が、譲渡のあった年の1月1日時点で5年以上売主の居住の用に供されているなどマイホームとして利用されていたこと等
例えば、売主が譲渡の年において5年以上居住していた土地と建物を売却した場合で、その売却価格が3,000万円であったとします。一方、売却した土地と建物は売主が購入したものですが、購入時の価額が4,000万円であったとします。この取引で売主は1,000万円の損失が出ます。
不動産を譲渡して損失が生じた場合の特例の注意点
給与所得や事業所得から控除できる譲渡所得のマイナス分の上限額は、売却時の住宅ローン残高から不動産の売却価額を控除した金額となります。
例えば、売却時のローン残高が2,500万円で、住宅の売却価額が2,300万円、住宅の取得価額が2,600万円だとします。
このケースでは、実際に発生した譲渡による赤字分は2,600万円-2,300万円=300万円ですが、給与所得や事業所得から控除できる金額の上限額は2,500万円から2,300万円を控除した200万円となります。
この他、例えば、譲渡があった年の確定申告でこの制度を利用して譲渡所得の赤字分を他の所得から控除して税額を計算したが、引ききれない赤字分が残った場合には、その赤字分は翌年の確定申告の際に繰り越して他の所得から控除することができます。
サラリーマンの方であれば、税金に関する手続きのほとんどは会社が代行して行ってくれるので、自ら確定申告を行うことは滅多にないと思いますが、住宅ローンが残っているマイホームを売却して赤字を出した場合には、確定申告を行うと結構大きな金額の税金の還付を受けることができる場合があります。
居住用財産の買い替え特例について
マイホームを買い替えた場合に赤字が発生した場合でも、上記の不動産を譲渡して損失が生じた場合の特例が適用されます。
この特例が適用される要件は、買い替えではなくマイホームを一方的に売却して赤字が発生した場合の損益通損の繰越控除とほとんど同じです。
また、買い替えではなく住宅を一方的に売却した場合に適用される損益通損の繰越控除とは異なり、買い替えの場合には、譲渡があった年の翌年以降の3年間について、譲渡所得の赤字分の全額の控除が認められています。
この特例にも、平成31年12月31日までの譲渡に適用されるという制限が設けられています。この特例の適用を受けようとする場合も、必要書類を揃えて譲渡があった年の翌年の申告期間に、確定申告を行う必要があります。
この特例は住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に適用を受けることができる、住宅ローン控除と併用が認められています。
そのような場合には、この制度を利用すれば買い替え以後しばらくの間、確定申告の際に税金の還付を受けることができます。
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— 家ってYEAH (@ietteyeah) October 3, 2019