案外売れにくい?築浅の物件を売却する際に注意すべきこと

売却時の注意点

不動産の価格は新築時が最も高く、その後は年月の経過と共に少しずつ価値を落としていくというのは周知の事実です。
ならば少しでも早く売却したほうが有利なのではないかと感じますが、築浅の物件には特有の事情が潜んでおり、売却にあたり注意すべき点が存在します。

案外売れにくい?築浅の物件を売却する際に注意すべきことを解説します

購入希望者はなぜ売りたいのかを気にしている


まず念頭に置いておきたいのは、築浅物件の場合、購入希望者は「なぜこの売り主はこんなに新しくて綺麗な家を売りたいのだろう」と気にしているということです。
こんなに良い家をすぐに手放すのだから、何か特別な事情があるに違いないと想像する購入希望者は多く、中には事故物件なのではないかと疑う方もおられます。
そういった状態では当然売却に支障が出てしまいますから、購入希望者を不安にさせないためにも、なぜ売却したいのか理由をはっきりと伝えることはとても重要です。

仮に転勤などの事情がある場合には、購入希望者に納得してもらいやすくなるため売却が容易に進みますし、親を介護する事情ができたという場合や、離婚するという場合にも十分な売却理由として成立します。
住宅ローンの返済が困難になった場合など、金銭的な事情がある場合には打ち明けにくいかもしれませんが、それでもできる限り正直な理由を説明したほうが売却しやすくなります。

また、近隣住民による騒音などのトラブルが無いということや、治安の問題で引越すわけではないということも、合わせて購入希望者に伝えると良いでしょう。
ご近所の人となりなど、実際に住んでみなければ分からない事情を説明することによって、購入希望者は物件購入後のイメージを持ちやすくなり、不安を抱かずに購入を決断できるようになります。

もしも近隣や治安の面で問題があって売却をしたいということであれば、それらの事情は不動産業者に包み隠さず話し、販売戦略を立ててもらってください。
大きな問題が生じていることを隠したまま売却を成立させてしまうと、買い主に後から訴えを起こされ、損害買収請求に応じなければならない事態へと発展する可能性があります。

売却額が購入時と大きく異なる場合には要注意


購入時の価格と査定価格に大きな隔たりがあるという場合には、ローンの返済や税金の支払いで問題が生じる可能性があるため注意しなければなりません。

例えば4000万円で購入した物件に3500万円のローンが残っており、売却額が3000万円にしかならなかったという場合には、差額の500万円を売り主が返済する必要が出てきます。

これをオーバーローンの状態と呼んでいますが、オーバーローンに陥ってしまい、預貯金での返済も不可能ということになると、事前に住宅ローンの貸付元と返済方法について交渉することになります。
こういったケースでは、住み替えローンや無担保ローンへの移行によって債務を繰り越し、売却成立後にも引き続きローン残高を支払い続けていきます。

反対に売却時の金額が購入時の金額を上回るという場合には譲渡所得税が発生し、申告と納税を済まさなければなりません
仮に購入後5年未満の築浅物件を売却して利益が出た場合には、短期譲渡所得と見なされ、利益に対して合計39%の税金が課せられることになります。
譲渡所得税には様々な控除が適用され、納税の必要がなくなる場合もありますから、譲渡所得が発生する見込みになった場合には税理士等に相談しましょう。

内覧に来る人の期待を裏切るギャップは作らない


築浅の物件になぜ人気が集中するのかと言えば、それは購入希望者が「少しでもコンディションの良い物件を探しているから」であることは想像に難しくありません。
そういった人物は建物の外観にも内観にも「新しくて綺麗だろう」という期待を持って内覧に訪れるので、ハードルが高い状態で設定されていることになります。
人が住んでいる以上、内覧に訪れる人の希望を完全に満たすことは困難ですが、期待と現実との間に大きなギャップを作ることは避けるように注意する必要があります。

例えばトイレや浴室などの設備は、築浅の物件に搭載された品であればまだ型落ちしていない最新鋭のシステムでこそありますが、汚れが目立つと台無しになってしまいます。
単純に不潔というだけではなく、雑に利用されてきたという印象を持たれてしまうため、築浅というブランド的な価値を一気に失い、購入希望者を失望させてしまいかねません。

特に小さなお子さんやペットをお持ちの家庭の場合には、壁紙が剥がれていたり、床が激しく傷付いていたりすることがありますが、こういった問題も修繕で解決しておくことをおすすめします。
大掛かりなリフォームは不要ですが、簡単な修繕で綺麗な状態に戻せるのであれば業者の活用も視野に入れ、さらに掃除を徹底することによって、築浅の価値を失わせずに売却を行えるのです。

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