不動産の豆知識…宅地建物取引士って何をする仕事?
不動産売買を行う際、不動産会社に足を運ぶと、担当者の名刺に「宅地建物取引士」という肩書が記されていることがありますが、これはどういった仕事内容を指しているのでしょうか。
不動産売却を実行する上では必ずお世話になる宅地建物取引士についてこの機会に知り、彼らの仕事内容を理解しておきましょう。
私の知人で数年チャレンジしている青年がいますが、宅建の資格とは狭き門なのですよね。
不動産の豆知識…宅地建物取引士って何をする仕事? https://t.co/Yb90bw5XJZ— 家ってYEAH (@ietteyeah) 2019年4月1日
目次
不動産の豆知識…宅地建物取引士って何をする仕事?
宅地建物取引士は不動産会社に必ず必要
不動産会社(宅地建物取引業者)が営業を行う際に遵守しなければならない法律の一つに、宅地建物取引業法というものがあります。
この法律によると、不動産会社は、事務所の規模や業務内容に応じて必要な人数の宅地建物取引士を設置しなければならないと定められています。
つまり、不動産取引に関する知識を持つエキスパートが所属していない不動産会社は、売買を行うことが認められないということです。
例えば不動産会社では、事務所に所属しているスタッフ5名につき1名の割合で宅地建物取引士を設置する義務が課せられています。
仮に30名のスタッフが働いている事務所があるとすれば、少なくともその内の6名が宅地建物取引士でなければ営業が認められません。
また、モデルルームなど事務所以外の施設においても、1施設につき1名以上の宅地建物取引士を配置しなければならないことも法律によって定められています。
不動産会社が宅地建物取引士の有資格者のみを募集したり、スタッフの採用後に宅地建物取引士の資格を取得させたりすることが多いのはこのためです。
宅地建物取引士という名称を知らなくても、「宅建」という名前に聞き覚えがあるという方は多いのではないでしょうか。
宅地建物取引士の仕事
なぜ不動産会社に宅地建物取引士の配置が必要なのかといえば、一般のスタッフでは賄うことのできない仕事を、宅地建物取引士だけが可能にしているためです。
宅地建物取引士だけが行える仕事の代表例としては、売買する物件の詳細について売り主と買い主が同席した上で行う「重要事項の説明」があります。
重要事項の内容は様々で、建物や土地がある地区がどのようなカテゴリーに区分されているかということに加え、その不動産が孕むリスクについての説明も行います。
震災による液状化等の恐れがあればこれを伝えることもありますし、何らかのトラブルを引き起こしている近隣住民がいる場合には、この説明も欠かさずに行っています。
マンションの場合には修繕積立金や管理費を各住民が分担して支払いますが、ここで延滞が認められる場合には、その総額を説明することも宅地建物取引士の仕事の一つです。
重要事項の説明が終わり、売り主と買い主の双方が合意すると、用意した重要事項説明書に署名と押印を行うこととなり、ここにも宅地建物取引士は必ず同席します。
重要事項の説明には長ければ数時間を要することもありますが、宅地建物取引士はこの説明をすべて口頭で読み上げながら行っていきます。
宅地建物取引士として活躍しているのはこんな人
宅地建物取引士としてのキャリアをスタートさせるためには、一年に一度限り行われる宅地建物取引士資格試験を受験し、これに合格しなければなりません。
この試験には受験資格は設けられていませんから、受験料を支払えば誰でもすぐに受験することができ、年齢や学歴、職歴とは無関係に資格を取得することが可能です。
ただし、実務経験を有さない人物が資格取得に成功した場合には、実務講習を受ける義務が課せられるため、不動産の売り主や買い主にとっては安心できる対策が設けられています。
宅地建物取引士資格試験は誰に対しても公平に開かれている試験ではありますが、合格率は例年15%前後となっており、決して簡単に取得できる資格ではありません。
いわゆる宅建に関わる基礎的な知識のみならず、民法などを学ぶ必要があるため、試験に備えてカバーすべき内容は非常に多く、独学での資格取得は困難とされています。
そのため、宅地建物取引士になるための専門学校も多く、多くの宅地建物取引士が専門学校や大学の教育課程において宅建取得のための勉学を重ねた経験を持っています。
宅地建物取引士は、前述した重要事項の説明などの局面的な状況だけで登場する訳ではなく、来客の対応や物件の案内、問い合わせへの対応といった日常業務も担当します。
そのため、物件の売買で担当者として付いたスタッフが宅地建物取引士だったというケースも非常に多く、売買に関するすべての一人の宅地建物取引士に頼るということも珍しくありません。
まとめ
宅地建物取引士の資格は、弁護士や司法書士、行政書士など、士業と呼ばれる資格に並び、前述した通り合格するには狭き門です。
成績上位15%程しか合格することが出来ません。
試験は50点満点ですが、合格ラインは毎年変わります。平均的な合格ラインが35点(平成30年は37点)ですので、その難しさが分かります。
また、宅建業法の規定に違反した場合は資格の停止や取消といった処分も課せられます。